勝ったやつ負けた奴

御預り申して置くと勝ったやつ

しあわせをいたしましたと又ならべ

勝者のせりふ。

 

ちと勝利得しは小歌を盤の縁(ふち)

碁に勝って上戸に餅を買わせけり

碁は勝ちに決っして床の花を誉め

勝者のしぐさ。第一句は小唄を歌う、第二句は下戸の勝者が上戸の敗者に餅を買いにやる、第三句は勝者に気持ちの余裕ができて床の間に飾ってある花を誉めた。

 

碁の白を打っておとして悦に入り

わすれ果て使いに笑って立つ碁盤

第一句は黒番で碁に勝って嬉しいという単純な句。白と城をおとすをかけているのがミソ。第二句は使いに行く途中で碁に寝中、碁に勝った時に使いを思い出した。

 

思う様勝つと小便したくなり

雪隠でくしゃみをするは勝ったやつ

勝者が小便に立つ間に敗者は見物人と悪たれ口。

 

碁に勝って戻りゃ門(かど)から咳拂(せきばらい)

夜遅くまで碁を打ってやっと勝って我が家にたどとりつくと、家の中から山の神の咳払いが聞こえる。桑原々々。

 

月代(さかやき)にかゆみが来ると負けになり

碁を打っている最中に頭を掻くのは形勢の悪い証拠。

 

碁にまけて来たは木魚(もくぎょ)の音で知れ

親の負け碁にまず膳を出す

和尚が碁に負けて帰った時は木魚のリズムも狂いがち。親が碁に負けて帰った時はつまらないことで叱られないようまず食事の準備。

 

碁に負けておかしや下戸の酒うらみ

下戸のくせに酔っていたので負けたと言い訳。

 

負けたやつそっちへ煙(けぶ)を吹けという

腹立ちに碁盤を薪とのたまへり

負けたやつそば切賣をひっ叱り

負けた奴の八つ当たり。第一句は碁の相手の煙草のに煙、第二句は碁盤に、第三句はたまたま通りががかった蕎麦売りに八つ当たり、

 

負腹も立てず相手を誉めている

負けたやつ小便に出て星を誉め

上品な敗者。

 

さら/\と柚味噌で茶漬負碁腹

負けた夜は腹を碁盤にして寝入り

ヤケ食いか?「腹を碁盤には」は「腹(皷)をうつ」で満腹にするの意。

 

負けてきた手をば師匠へしかけて見

あやまてりとて碁経又見る

勉強熱心な敗者。碁経は玄々経などの碁書。

 

昨日負たやつ碁盤を出して來る

早速に昨日負けた碁の意趣返し。