碁では見物人の口出しはご法度。でもなかなかそれではおさまらないが見物人の心情。
打ち出した石を見て居る雨やどり
雨やどり助言を言っておん出され
俄雨が降ってきたので近所の縁台碁に雨宿り。口を出して追い出される。江戸時代は助言は「じょごん」と訓した。
碁の助言いいたくなると庭へ立ち
まだるいなあええええ助言がいいたいなあ
銭出して一手いいたき碁の助言
第一句は上品な見物人。第二句、第三句は見物人の真情。
碁は打つも見るも同じき心持
相手より碁の見物が汗になる
対局者より見物人があつくなる情景。
碁会ではないと下女めが助言する
勝手から碁の脈をとる料理人
口を出す見物人もいる。下手な碁には下女までも口を出す。第二句は台所に碁の強い料理人がいる。時々碁をのぞいて形勢判断をしている。脈をとるは医者が病人を診断する。
岡目八目す見物あなを知り
一目の負け見物に強よがられ
お亀八目隣からどろぼう
第二句は一目の負けを予想した見物人に反論したが終わってみればやはり見物人の言う通り。第三句は見物人は岡目八目で驚くような手を助言した。隣から泥棒はビックリポン
助言より邪魔な近目の禿げ頭
見物人の助言も碁を見る邪魔だが、碁盤に覆いかぶさる近目の男の禿げ頭はもっと邪魔だ。
當人はけろり助言がさしてゐる
一手々々に助言待つやら
大勢の助言の中を切ってぬけ
第一句は下手な対局者はなに食わぬ顔で助言通り打っている。まるで助言者が碁を打っているようだ。第三句は助言が飛び交う中で外局者は平然と自分の碁を打っている。